Vanish

慣れない時間の流れ 夜が長く感じる
体よりも心のオアシスが欲しくて
何気に壊れたはずのラジオをつけてみると
ノイズ混じりの彼女に出会った  

なつかしくもないのに なぜか僕は
ふと気がつけば涙してた

ひからびかけたこの僕に 女神が舞い降りて
彼女の声 うるおす雫の様
天子の微笑にも似た やわらかな風の声
大人になった 僕の心を癒すなんて

いつも笑っている様な 彼女の歌声が
僕の子守歌がわりになってたのに  

夢で見る彼女は空を見上げて  
涙を見せずに泣いている様

真夜中にふと目が覚めると 痛いほどの静寂
いつのまにか 彼女の声も閉ざされ

不思議な魔法に魅せられた 僕は子供の様に
彼女はもう ラジオとともに眠りについた

もう冷たくなっている彼女に 何度も呼びかけて
いつまでも 声が枯れ果てるまで

うなだれた彼女の体 永遠に目覚めはしない
彼女のいない あの夜には戻りたくはない